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治療を受ける側の要因

西洋医学にしても代替補完療法にしても、同じ治療や施術をしてもその効果が違って
くるのはどういうことだろうか?ということに対して僕の考えていることを書きたい
と思います。


現代医療ではある「治療法」があるとき、その治療効果を「奏効率」と言ってパーセント
であらわします。つまり、同じ治療を100人の人に行った場合に何人の人が効果を
表すかということを数字で表現するのです。それは「著効あり」「効果あり」「不変」
「効果なし」と4グループに分けてそれぞれ数値化されます。
代替療法の場合には、何をもって「著効あり」とし、何を持って「効果なし」とするか
という「基準」があいまいであるため、治療効果を数値化することが難しいという問題が
ありますが、このことについてはまた別に書きたいと思います。

とにかくどちらの場合にしても「治療効果」という場合には、あくまで治療法のほうに
に焦点を絞って、効いた効かないという議論がなされるわけです。


これに対して、治療を受ける側の「条件」(これを「ホスト側要因」と言います)に
焦点を移して考えてみるとどうなるでしょうか。
実はこの「ホスト側要因」こそが同じ治療を受けても、人によって効果が様々である
原因なのです。しかし、その実態を解明するということは決して容易ではありません。


もちろん、年齢とか身長、体重、あるいは検査データーなどの目に見える要因も
「ホスト側の要因」ですから、臨床試験などでは出来るだけそういった条件がそろう
様に考慮されます。

しかし、一般的には「ホスト側要因」というと、「自然治癒力」という言葉と同様に
とても漠然としたもので捉えにくいものです。

それでは、ちょっと具体的に「自然治癒力」を反映していると思われる「ホルモンの
バランス状態」とか「免疫の状態」とか、「自律神経のバランス」についてはどう
でしょうか。
確かにこれらの要因は、「ホスト側の要因」とか「自然治癒力」というよりは少し、
具体的な印象がありますね。全体ではないけれども、その一部を反映している可能性
があります。

しかしこれらの要因も、治療効果に影響を与える可能性が十分にあるにもかかわらず、
「臨床試験」などで考慮されることはありません。
いや、本来であれば検討したほうがいいのですが、把握する方法がないと言ってもいい
のです。

「ホルモンのバランス状態」といっても何を持って「ホルモンのバランス」というのか
が定義することができません。「免疫の状態」や「自律神経」についても同様です。
血液中のリンパ球の数や、アドレナリンやノルアドレナリンというホルモンの濃度を測る
ことは可能ですが、それが「治療を受ける側の条件」をどれほど反映しているかは
非常に不確定です。



「ホスト側要因」を別の表現をすると「ホメオスターシス」とも表現できます。これは
生体内環境の恒常性という意味で、生体は常にその環境をいつも同じように保とうとする
働きがあるということです。そして、そのホメオスターシスの維持にさきほどあげた
ホルモン系、免疫系、自律神経系が非常に重要な働きをしていることは分かっています。


病気の状態というのは、このホメオスターシスが乱れている状態ということです。
ある治療を行ったときに、その効果が低いというのは使用した薬側の問題ではなくて
治療を受けた側の「ホメオスターシス」のバランスの乱れの状態によるのだということ
だと思います。
あくまで、ある治療はバランスを乱れた状態を戻すことを手伝いますが、戻るかどうかは
治療を受けた側の要因だということです。

今の現代医療では、治療を行った時にホスト側が「バランスを取り戻しやすい状態にする」
ためにはどうしたらいいかということは考慮されません。治療効果を上げるためには、
すこしでも「強い薬」を開発することが優先されているというのが現状なのです。

もちろん、少しでも治療効果の高い薬を開発することは、一人でも多くの患者さんを
治すという意味では悪いことではないのかもしれませんが、「新薬の開発競争」は
とめどがありません。
少し見方を変えてホスト側が「バランスを取り戻しやすくする」ための条件を考えて
いくことがこれからは必要になってくるのではないかと思います。


わたしは、この「バランスの乱れたホメオスターシス」を整える大きなカギとして
今まで西洋医学がほとんど無視してきたと言ってもいい「心や精神の状態」があると
思っています。(もちろんそれがすべてでなどと極論しているわけではありません)

分かりやすく言えば、
笑って暮らしている人と泣いて暮らしてばかりいる人とではどちらが
病気になりにくく、病気になっても治りやすいか
ということです。

今までは、こういう内容は「血液型占い」と同じレベルでの捉え方しかされていなかった
様に思いますが、これからはきっちりと研究対象として取り扱っていくべきテーマで
あると思います。



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Comment

2010.05.24 Mon 20:24  |  勉強になります

いつも勉強になります。
僕は鍼灸師ですが、鍼灸臨床はしてなくて研究を主に仕事にしています。実は以前「笑いと治療効果」に興味があって、研究対象にしていました。
患者さん自身の暮らしもそうですが、
例えば「笑って迎えてくれる治療院」と「しんどそう(忙しそう)にしている治療院」ではどちらが痛みを改善する効果があるか。。。といったものですが、なかなか臨床現場と協力関係が出来ず企画倒れになってしまいました。
笑みで迎えてくれれば気持ちがいい。当然といえば当然のことかもしれませんし、みんな気をつけていることだと思いますが、はっきりとしたデータが示せればいいなぁと思っています。

身体はひとつひとつの機能が分離しているんではなくて、オーケストラのように全体が機能して健康でいるオーケストレーティングシステムですから、心・環境のフォローは大事だと思っています。

  • #0iyVDi8M
  • machuta
  • URL
  • Edit

2010.05.25 Tue 05:00  |  調度、そんな記事を目にしていました。

効く人と、効かない人がいる。

この要因は様々ですよね。本当に。

今目にしていた記事にも、そんな研究が載っていたので、お知らせしようかと。。
薬石療法の記事です。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/1559/kenkou/kenkouindex.htm

もちろん人によって、効く効かないもあり、またコンクリートの部屋の中だと効かないとか様々あったようです。
また「2-6-2の法則」「ひつじ・やぎの法則」など、面白い記事でしたので参考になればと感じます。

  • #P/yuRyQg
  • ゆうち
  • URL
  • Edit

2010.05.27 Thu 19:10  |  

とても面白い研究テーマだと思います。心が身体に及ぼす影響を
エビデンスで結果を出そうと思うとなかなか難しいですね。
なにをどのようにして数値化していくかという問題があります。

最近の僕は、ブログにも書いていますようにクライアントさんが
「よくなった」と思ってくれさえすればいいのではないかと。
つまり「ナラティブ」です。


  • #KB5hZkYI
  • 小西康弘
  • URL
  • Edit

2010.05.28 Fri 07:43  |  Re: 調度、そんな記事を目にしていました。

面白い情報提供ありがとうございました。

  • #-
  • 小西康弘
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プロフィール

小西 康弘

Author:小西 康弘
京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院などで内科全般を研修し、消化器内科を専門とする。内科専門医。

内科医として約20年病院勤務をしてきましたが、西洋医学の範疇だけでは、とても患者さんの肉体的問題に対して対応できないとその限界を痛感しています。
肉体的な問題の奥底には心理的、精神的な問題が隠れていることが少なくありません。表面に出てくる肉体的な問題は原因ではなく結果で在る事が多いのです。
トランスパーソナル心理学の各手法や、ヒーリング方を勉強中。
シーターヒーリング・プラクティショナー

このブログでは西洋医学だけでなく代替医療やその他の補完療法についての私の考え方や、いろいろな情報を書いていきたいと思います。


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