スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

それぞれの役割

これまで、いろいろなキーワードを使って、西洋医学と代替医療の違いについて
ぼくなりに考えたことを書いてきました。

「粒子性」と「波動性」
「物質」と「エネルギー」
「エビデンス」と「ナラティブ」
「実証すること」と「寄り添うこと」など

前者は西洋医学の特徴でありかつ優れている点です。
一方後者は代替医療の特徴ですが、まだまだ十分に認識されているとは言えず
どうしても、いままでの前者の尺度で測られることが多いのではないかという
のが私の実感です。

どちらがいいとか悪いとか、どちらのほうが優れているとかいう「議論」では
ないのだと思います。それぞれに適切な「尺度」で評価する、その特徴を認識
して利用するということが大切なのではないでしょうか。



ここで、もう一度Aさんに登場してもらいましょう


「症例  45歳男性 
主訴  前胸部痛
既往歴 なし。
現病歴 3ヵ月前から通勤中階段を上ったりするときに、時々前胸部に締め付けられるような
    痛みを自覚するも、1-2分で軽快するため放置。頻度は最初は1週間に2-3度で
    あったが、最近はほとんど毎日のように胸痛を自覚。
    仕事が忙しいという理由で病院を受診することはなかった。
    今回、夜半自宅に帰宅後、入浴中に今までにない胸痛が出現したため、救急車にて
    当院救急外来に搬送される。
    喫煙歴 40本×25年  飲酒歴 ビール350ml×2本をほとんど毎日

身体的所見 身長163cm 体重83.5kg 腹囲93cm 血圧 84/触診 
    脈拍 64  顔面蒼白、苦悶状 全身に冷汗を伴う 心音 3音を聴取 
    呼吸音 両側肺に湿性ラ音を聴取

心電図所見:    前壁・中隔梗塞
胸部レントゲン   両側肺にうっ血所見(心不全の兆候)                       」


西洋医学では、すぐに集中治療室に収容され、心電図モニター、点滴のラインが確保
されます。身体的な所見や心電図、レントゲン検査からはAさんは前壁・中隔という
部位の心筋梗塞で、急性心不全・プレショックの状態であると言えこのまま放置すると
命にかかわる可能性がある重篤な状態であると判断されます。

心臓を栄養している血管を拡張させて心臓に行く血流を良くする薬や血圧を上げる薬
などの投与が開始される一方、「心臓カテーテル」の準備が整えられます。
準備が整えばすぐに「心臓カテーテル室」に移送され、カテーテルによる「処置」が
始められます。
心臓の重要な血管が詰まった状態を放置すれば、場合によれば生命の危機に至ります。
有無を言わさず瀕死の状態の心臓をレスキューする処置が最優先されるのです。
そこでは、きちんと「エビデンス」に則った一番治癒率の高い治療法が選択され即座に
実行されるのです。患者さんの命を救う治療にいい加減な妥協は許されません。。。


そして、緊急心臓カテーテルの処置で一命を取り留め集中治療室の戻ってきたAさんの
胸中には今までの生活に対するいろいろな思いがよみがえってきます。

まるで何かに追いかけられているかのように、鞭打たれる馬車馬のように立ち止まる
ことなく働き続けていた時の自分がまるで、「他人」であるかのように蘇ります。
ついこの間のことであるのに、あれからとても時間がたったかのような感覚です。

最初は、家族を幸せにしたいという気持ちであったのにそれがいつの間にか家族を
犠牲にしてまで仕事を優先するようになり、そのうちに立ち止まりたいと思っても
まわりが立ち止まらせてくれなくなっていたことに気がついたのです。

「自分の求めていた幸せな生活はこんなはずではなかった」
という思いがAさんの心を締め付けます。
するとおかしなことに、病気になったおかげでやっと立ち止まることが出来たという
感覚が起こってきたのだと思うや、涙が止まらなくなりました。
ひょっとしたら命を落とすことになったかもしれない病気のおかげで、助かったとは
なんとも皮肉な話です。

無事退院したAさんは、友人の紹介で「カウンセリング」を受けることになりました。
これを機会にゆっくりとたまっていた有給休暇を消化することにもしました。



カウンセリングを受けるうちに、自分がどうして仕事に巻き込まれていても休むことが
出来なかったのかが徐々にわかってきました。

Aさんの潜在意識の中に、

「仕事を休むと、自分は価値がなくなる」
「仕事をしていない自分は価値がない」
「人に愛してもらうためには、働き続けなければいけない」
「ありのままの自分は愛してもらう価値がない」
などなどといったたくさんの『思い込み』があることが分かってきたのです。
そして、この『思い込み』のさらに深いところには「両親との関係性」が密接に関連
していることにも気がつきました。

本当は人に愛してもらいたかっただけなのに、「働かなければ」という勝手な思い込み
があったために、却って家庭もばらばらになる直前にまで至ったということに気が付き
ました。

Aさんを担当してくれたカウンセラーの人は、Aさんにああしろ、こうしろといったこと
は一切言いませんでした。適切ないくつかの質問をするだけで、あとはAさんの自発的な
気づきのプロセスを信頼してくれたのです。これが、あれこれと「アドバイス」をする
ようなカウンセラーであったらきっとここまでの気づきに至ることが出来なかったのでは
ないかとAさんは振り返って思います。


急性心筋梗塞を発症したAさんにとって「西洋医学」はまさに「命の恩人」とも言える
でしょう。
そして、退院した後で出会ったカウンセラーの人は「生き方の恩人」と言えるかもしれ
ません。


カウンセリングを「代替医療」の中に含めるか否かはさておき、西洋医学では手が及ばない
ところを補ってくれたという意味では「補完療法」であると言えます。カウンセリング
自体にはもちろんそれなりの「理論」がありますが、「エビデンス」よりも「ナラティブ」
が優先され、クライアントさんの「個人の物語」から問題となっている「思い込み」を
浮き上がらせ、クライアントさんに気付いてもらうというプロセスが大切にされます。

そして、この「個人の物語」のなかにこそ、病気という結果を起こした「原因」を解く
大きな手掛かりがあるのだと思います。しかし、今の西洋医学にはそこにまで関わって
いくだけの「余裕」がありません。それを補って助けてくれるのが「代替・補完療法」
であり、それぞれにそれぞれの出来る役割、得意分野があるのだと思います。





スポンサーサイト

Comment

(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://koniy.blog104.fc2.com/tb.php/82-904afbcf
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

小西 康弘

Author:小西 康弘
京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院などで内科全般を研修し、消化器内科を専門とする。内科専門医。

内科医として約20年病院勤務をしてきましたが、西洋医学の範疇だけでは、とても患者さんの肉体的問題に対して対応できないとその限界を痛感しています。
肉体的な問題の奥底には心理的、精神的な問題が隠れていることが少なくありません。表面に出てくる肉体的な問題は原因ではなく結果で在る事が多いのです。
トランスパーソナル心理学の各手法や、ヒーリング方を勉強中。
シーターヒーリング・プラクティショナー

このブログでは西洋医学だけでなく代替医療やその他の補完療法についての私の考え方や、いろいろな情報を書いていきたいと思います。


ツイッターでもつぶやいています。下のボタンをクリックして下さい。

個人セッションのお申込みはコチラ

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

全記事表示リンク

ブログランキングにご協力ください

リンク

Copyright © 小西 康弘
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。